雫-シズク-

「実はさ、変な夢見たんだ。多分夢だと思うけど、親父とお袋に生きろって言われたよ。だから許すとかもう気にしないとか、そんな簡単なもんじゃないけどさ。でもちょっとだけ楽になった気がするんだ」


葵さんに話しているつもりで今の素直な気持ちをそのまま伝えていく。


「葵さんが言ったようにしっかり生きれるかなんてわかんないけど、俺やってみるよ。とりあえずなんか生きる目的みたいなのが欲しいな。今まで憎んでばっかだったから、全然思い付かないけどさ」


ふっと口元を緩めてなんとなく定まらなかった握り拳をそっと胸の上に置いた。


「桜井さんも少し変わったみたいなんだ。園長がいるからまだどうなるかわかんないけど。……葵さんが生きてるうちにそうなってたら、あんな死に方しなくてすんだのかな?」


少しずつ震え始めた声に一度深くため息をつくと、これから葵さんに言わなきゃいけないことを飲み込んでしまわないよう、はっきりと誓うように言葉を押し出す。


「心配させるようなことばっかして、もしかしたら俺がずっと葵さんを縛り付けてたのかもしれない。だからもう葵さんとはお別れだね。二度と自分から死ぬような真似はしないよ。……だから」