雫-シズク-

きっと今すぐとまではいかなくても、そのうち追い出されることになるかもしれない。


でも今回ばかりは明らかに学園に迷惑をかけたんだから仕方ないと、俺は桜井さんにばれないよう小さくため息をつき窓の方へと視線を移した。


ふとカーテンの外の明るさが気になって桜井さんに訪ねた。


「今、何時ですか……?」


さっきまで悲鳴を上げていたせいで、聞き取りにくいほどかすれた声しか出せない。


それでも桜井さんには通じたようで、やっと俺の手を放し腕時計を見下ろした。


「もうすぐ六時半よ。圭介くんがバイトに来なかったけど大丈夫かって、明け方大宮さんから園長の携帯に電話がきたんですって」


……大宮さんが?どうして今日に限って?


今まで何度か寝坊で休んでしまったことはあったけど、わざわざ大宮さんから連絡が入ったことは一度もない。


いつも次の日謝ると、若いもんはそういうことがあるのが普通だって笑って言ってくれたから、今日だってまさか電話がいくなんて想像もしていなかったのに。