もちろんそんな俺の行動に一気に怒りを爆発させた高木さんは、ソファから立ち上がり顔を上気させて怒鳴り始めた。


「なんだその態度は!もうここにお前の居場所はないと思え!」


「園長!もう一度私達でよく話し合いますから少しだけ猶予を頂けませんか?ほら圭介くんも謝って!」


それでもまだ小さく含み笑いを続ける俺に高木さんが更に顔を歪ませる。


「猶予は高校進学の時にすでにやっている。これ以上必要ない」


きっぱりと低く抑えた声で言い放った高木さんは、張りつめた空気だけを残してずかずかと指導員室を出て行ってしまった。


掃除中の時間で人のまばらな室内に、しんっと突き刺さるような静けさが訪れる。


「圭介くん、どうして真面目に話を聞いてくれないの?本当にここにいれなくなってもいいの?時間を置いてあとで一緒に園長の所に謝りに行きましょう」


困り果てた表情の桜井さんの言葉が耳を素通りしていき、俺はすっと椅子から立ち上がって目も合わせずに無表情で呟いた。