「部屋に、葵くんの遺書がありました。そこには佐伯さんから受けた虐待が自殺の原因で、用意した薬と刃物は自分の物だということが書かれてました。今回の件は、警察も学園側に責任はないとのことでとりあえず納得してもらえました」


桜井さんが少し間を置いてから消え入りそうな小さな声で、最後まで優しい子……と独り言を呟く。


……遺書が、あったんだ。


そう思った途端、葵さんの計り知れない覚悟を思い知る。


でも……。


そうですかと安心した様子の坂井さんに、桜井さんが低くしていた声を更に低めた。


「他にもいろいろと話し合ったんですが、あちらは今後一切学園とは関わりたくないそうです。残念ながら葬儀にも参列出来そうにありません」


俺は二人の間に重い空気が流れるのを感じながら、ぎゅっと強く目をつぶった。


でも。