雫-シズク-

ぼんやりと点滴のチューブを見つめて頭の中の霧が晴れていくと、倒れる前の記憶が少しずつ蘇ってくる。


……そうだ。桜井さんに確かめなきゃいけないことが……!


背骨にぞぞぞっとのけ反りたくなるような感触を感じながら、とっさに起き上がろうと両ひじに力を入れた。


まだ起き上がらないように桜井さんに止められたけど、そんなことなんかどうでもいい。


「あっ、葵さんは……!?」


もしかしたらあれは幻聴だったんじゃないかと淡い期待を胸に叫んだ。


……でも。


桜井さんは目を伏せて静かに首を横に振っている。


その瞬間、まるで自分の全ての細胞が生きることを放棄したみたいに体の力が抜けてしまった。


まばたきもできない俺は無言で天井をじっと見上げる。


……アオイサンガ、シン、ダ。