雫-シズク-

呼ばれた二人はサッカー部の人気者で、クラスでもリーダー的存在だ。


友達もたくさんいていつも誰かと仲良さそうにはしゃいだり笑ったりしている。


田中くんには一度話しかけられたことがあるけど、内容は施設のことだけだった。


相変わらずクラスで孤立している俺にとっては真逆の彼ら。


あいつらみたいなのがいれば、ここに俺がいなくてもいいんじゃないかな。


そんなことを思い付いた俺の手が、自然と机の中の教科書を鞄につめ込み始める。


今日だけは、葵さんが最優先だ。


実際ばたばたと帰り支度を始める俺に気付いた人なんか誰もいなくて、俺は一人でがやがや騒がしい教室をそっと出た。


笑顔の葵さんが待っているあの部屋に向かって。