雫-シズク-

「今までごめんね!今日はめちゃくちゃいっぱい話そうよ!」


それだけ言ってすぐにドアを閉ると、どきどきしている胸と同じくらいの駆け足で学園を飛び出した。




一時間目が始まってもずっとそわそわする俺は、黒板で数式を解くサッカー部の先生の話を無視してもくもくと考え込んでいた。


本当は勉強なんかしてる場合じゃないんだけどな……。葵さんとの時間がどんどん少なくなっちゃうよ。話したいことたくさんあるのに。


部活で大声を出すせいか、低くかすれた先生の声が教室に響いている。


勉強なんかいつだってできるけど、葵さんは明日いなくなっちゃうんだ……。


腕時計をちらりと見た先生が教科書をぱたんと閉じた。


「よし、それじゃ今日の授業は終わり!田中と木ノ下、すぐ職員室に来い」