雫-シズク-

それからもずっと気持ちの切り替えができなかった俺は、口数の少ないまま数日を過ごした。


葵さんは特に俺の機嫌を取ることもなく普通に話しかけてくるけど、なかなかまともに会話する気にはなれない。


でもそんな意固地な俺の本心はかなり複雑化していた。


葵さんが出ていく日曜がどんどん近付いてくるのにこんな状態で離れたくないという気持ちと、葵さんみたいにすんなりさよならなんてできないという気持ち。


それが心の中で戦っていて忙しいというのに、同時に狭くて古びたこの部屋に取り残されることへの不安と怖さまでどろどろと混ざり合ってくる。


まるで初めてこの学園に来た時のように、俺はまたあの心をえぐられるような深い孤独を味わうんだろうか。


それらの葛藤が大きくなればなるほど、葵さんへの苛立ちや折り合いのつけられない自分に焦りを感じる。


そしてお互いの一番いい形を探して頭の回路がごちゃごちゃになるたび、忘れかけていた恐怖に肩をぽんぽんと叩かれる俺は、すっかりどうすればいいのかわからなくなってきていた。