「そう、ここから少し離れちゃうけど……。おばさんと着替えとか用意しようね?」


「……どうしても、行かなきゃいけないの?」


美江子おばさんが元気のない顔でうなずく。


もしもここで僕が嫌だって言っても、きっとさっきみたいに無理やり連れていかれるんだろうって思って行くことにした。


この家を出るのはすごく淋しいけど、お父さんとお母さんがずっと一緒だもの。


少しの服と勉強道具をかばんにつめ込んで、おじさんの車に美江子おばさんと乗った。


大好きな家はすぐ見えなくなって、車の窓からお母さんや友達と一緒に歩いた道をぼんやり見ていたら、おじさんに話しかけられた。


「圭介、その遺骨は私が預かるから車に置いていきなさい」


その言葉で僕は息がつまりそうになった。


「どうして?僕と一緒に新しいお家に行くんでしょ?」


ひざの上に乗せていたお父さんとお母さんをぎゅっと抱きしめる。