雫-シズク-

俺は掛けてくる親も知り合いもいないし金だってもったいないから、携帯なんか別に欲しいとも思わないけど。


あと持っていないのは、親からまだ早いと言われてしぶしぶ我慢する小さな小学生くらいだ。


多分世の中では俺みたいにいらない方が珍しいのかもしれないな。


そんな冷めた気持ちのまま、俺に初めて電話を掛けてきた亮くんのことを考え始めた。


……俺が入院中に実家に帰ったから連絡してきたのかな。


亮くんも酷い怪我をしてたけど、関係ない俺だって散々な目に合ったんだしあんまり話したくないや……。


階段を下りながらちらりと左腕に視線を落とした。


自分で見ても痛々しい怪我が、おかしな奴らのせいでここに存在している。


今の俺の正直な気持ちは、今後一切亮くんとは関わりたくないというものだった。