雫-シズク-

亮くんだ!亮くんがやられてる!


鼻血をだらだらと流してぶくっと腫れ上がったまぶたで完全に両目が塞がった顔は、昨日の怪我よりも更に酷くなっている。


力が入らずぐにゃりとした体からは意識があるのかどうかもわからない。


「葵さん!やられてるの亮くんだよ!」


その言葉を聞いて顔をしかめた葵さんがやっと俺の方に来て確認し始めた。


「あのアホ、生きてんのか?」


「多分、でもこのままだったら……」


おろおろするばかりの俺をシカトして、突然葵さんが公園の中にずかずかと入っていってしまった。


「あ!ちょっと!」


つい葵さんを追ったけど、喧嘩なんかしたことのない俺は出入口付近で立ち尽くしてしまう。


葵さんはズボンのポケットから素早く携帯を出して耳にあてると、真っ直ぐ男達に向かって歩き出した。