雫-シズク-

あの時の絶望とあいつらへの憎悪で発作的に死にたいと思っても、俺の中の葵さんが強くこの世に引き留める。


葵さんは知らないけど、俺は何度か自暴自棄になったことがあった。


小学校の帰り道にあの車に飛び込めば楽になれると吸い寄せられたり、図書室で人体図鑑を読みあさっては太い血管を探し刃物を持ち出そうとしたり。


自分で自分の首を締めても、舌を強く噛みちぎろうとしても、苦しさと痛みの中で頭に浮かぶのは葵さんの顔ばかり。


きっと葵さんに叱られる、そう思うと不思議と生きたいという気持ちが芽生えてきた。


冷静になれば、憎いあいつらと同じ死に方をしようとした自分にも憎しみが向けられて、俺の内側には常にどす黒いものがうごめいていた。


完全に出口を見失い、過去に縛られ続けた四年。


これからも闇をさ迷い続けるのかと思うだけで、怒りがふつふつと湧き上がり心がわなわなと震える。