雫-シズク-

「結局、帰る場所はここしかねぇってこと」


そっか、そりゃそうだよね。俺達ってそうなんだ。


そのうち嫌でも帰ってこなきゃならないことに妙に納得して軽く頷く。


亮くんの友達がいくら悪いって言ったって、その親には常識くらいあるだろう。


長くても何日かしたら諦めて戻ってくるしかない。


開け放たれたドアから困った様子の桜井さんと他の指導員が出てきた。


食堂の無数の視線にすぐに気付いて控えめな笑顔を作る。


「みんな、ごめんね。時間過ぎちゃったけど掃除始めましょう」


桜井さんの声でやっと動き出した集団は、亮くんのことを忘れ去ったようにいつも通りの雰囲気に戻った。