ごそごそと布団にもぐる音がしたから僕もゆっくり寝転がる。


悪いのは僕なのに、どうして葵さんがあやまるんだろう。


きっとまだまだいろんなものをかくしているはずなのに、どうして優しいんだろう。


僕は自分のことしか考えられないのに。


黒い天井を見つめながら僕と同じ年の葵さんを思うと、なんだか涙が出てきた。


葵さんがかわいそうだから?


……ううん、違う。


葵さんが死ななくて本当によかったと、僕はよろこんでいるんだ。


ただ葵さんが生きていることだけをなにかに感謝しながらこっそり泣いた。


声がもれないようにきつく布団で口をふさいで、僕は初めて自分のことじゃないことで涙を流していた。