ドキッ! ちょっと、悲しそうに笑うカナコに僕は、さっき立ち去った彼女をダブらせてしまい、追いかけて抱きしめたくなる。
『シャナさんは、彼氏さんがいらっしゃるんですね? 羨ましいです! 彼氏さんは、シャナさんがコスプレの事をご存知なんですか?』
『…いぃえ…。彼氏は、全然知らないんです…。ちょっと、言いづらくって…』
困った時、前髪をクイクイッ…って引っ張る癖があるカナコは、仮面の中でも同じ事をしていた。
ただ、引っ張っている髪は作られたものだけれども…。
同じ行動するカナコは、僕に愛しさを感じさせる。
『じゃ、かなり彼はご心配されているのでは? こちらの衣装は手作りですよね? なら、製作時間がかかっていますよね。その間、彼とは連絡取れないと思いますが…?』
『ぇえ、そうです。なかなか会えない上に、私が音信不通になってしまい、迷惑をかけています。だから、今度会えたらちゃんと謝りたいです』
顔は満面の笑みだけど、目は寂しげで…口の端はかすかに震えている。
『…シャナちゃんだったら、彼氏が即、許してくれるよ?』
『そうかな?』
そこから呆然と画面を見つめていた。

