秘密。


…笑い声以前に、さっきまであんな風に僕に笑い顔を向ける事すらなかったカナコの事を思い出すと…心臓あたりがギュッと締め付けられた気がした。

『そうですか…。シャナさんは?』


…だから、シャナってなんだよ!


『私は、昔からテレビっ子でしたので、アニメもドラマもコメディも大好きでした。その中でもアニメが一番でしたね。中学生の時にこの世界の事を知って、よりいっそうアニメや漫画の世界にのめり込んでいきました』

リポーターに向ける笑顔とハキハキとして答える僕の好きなカナコは、知らない女の子に見えて仕方なかった。

誰? 知っている女の子なのに、僕の知らない女の子。


『このコスプレ、もしくはコミケに来ている事をご家族は知っているのですか? もし知っているのでしたら、どういった反応してますか?』

『僕の家族はもともとテレビが好きな一家ですし、漫画好きの兄がいますので…。そうですね。コスプレの服を着せて見せろとか言われるんですよ』

『…私の家族は知ってますし、反対もしてません。ただ、衣装を友達の家で作っていて家に連絡する事を忘れて迷惑をかけて、彼氏にも怒られてしまいます』