「ではこちらにどうぞ」
真っ暗なところへ連れて行かれて、あたしはプチパニック。
奥ではザワザワと騒がしい。
すると、そこに岡さんが来た。
「ではここから、お二人は別行動です。蓮さんはまず会見を行ってください。
花純さんはそれをここのウラから見守っていてください」
「えっ?」
てっきり、あたしも会見すると思ってたから思わず拍子抜けした。
「ごめん、花純。実は俺だけなんだよ、会見..」
「そっそうなんだ、大丈夫だよ!」
「花純が出たら顔がばれて、私生活に支障きたすってなって...
ルンルンで服選んでる花純見てたらマジ心痛んだ」
「ぁ、そうなんだ!だいじょうぶ、だいじょうぶ!
社長さんに会うってことだったしどうせ正装だったよ!」
「ん...花純は俺の決意とかここで聞いてて?」
「わかった...!」
「はい。それでは、蓮さんこちらにどうぞ...」
蓮君が会場の方へ足を進める....
あたしは我慢できなくなって蓮君の前に立った。
「花純...?」
「蓮君...がんばってね.../////!」
あたしはそんな意味を込めて、頬にチュッとキスを落とした。
だいぶ背伸びしなきゃいけなかったけどね。
「////」
真っ暗だけどわかったよ。
蓮君の顔が赤くなっていって、それを手で覆い隠してるのが。
かっこいい...
そんな蓮君を見ていると
「覚悟があってそんなことしたんだろ...?
記憶から出すなよ」
そんなことを言って蓮君は歩き出した。
...よくわかんないけど。
「蓮君頑張って!」
「んぃよ!」
蓮君の後姿にめいっぱい手を振って送った。

