「社長さんに挨拶行くの?」
「そう。それで...交際発表する」
「...えっ!?」
交際発表?
今、大人気の俳優なのに?
「っダメだよ、そんなの..!今、大人気なのにそれで人気落ちたり悲しむ人がいたら...っていうか、いるよ!絶対..」
まず大親友の彩菜ちゃんがファンだし..
絶対悲しむよ!
「花純。お前、優しすぎ...」
「ふぇ?」
「ははっ。俺な?
ちっちゃいガキの頃から、結婚は夢だった。
大好きな女の子と結婚して幸せになるってずっと思ってた。
まぁ、いつからか俳優になってたけど...
でもいつかは発表することだったんだ。
人気が落ちるとかそういうの、俺気にしないし」
...結婚。
その響きがあたしをむずがゆくさせた。
「でもね、悲しむ人はたくさんいる...
あたしが普通の一般人の三浦蓮のファンだったらすごく悲しいもん」
「俺もそれはやだけどさ...
人間って絶対恋しちゃうじゃん?
芸能人は恋しちゃいけないってそんなルールないし、
逆に交際とかしてなかったら変じゃない?」
蓮君はそう言って笑った。
確かに、恋したくない人もいるかもしれないけど...
人間は恋しちゃうよね。
「本当にいいのかな?」
「発表しなかったら、俺ら離れ離れにな...」
「やだ!」
蓮君の言葉からもう“離れ離れ”は聞きたくないよう...

