「…花純…
…あたしもっ!」
彩菜ちゃんは下を向いたかと思うと、いきなりあたしを見据えて飛びついてきた。
あたしは固まる。
びっくりしたのと、嬉しいの。
「あっやなちゃん?」
「あたしもっ、ずっと謝りたかった。
人には事情ってものがあるのに、花純が言ってくれないのが腹立っちゃった…
本当にごめん!」
…彩菜ちゃん。
こんなこと思ってくれてたの?
早く気づいていれば…
「やだっ、謝らないで。あたしも言えないことを作るなんて最低だと思う」
「ううん、あたしこそ!」
「もう謝らないで!…謝るより笑って?」
あたしは彩菜ちゃんにそう言った。
泣きそうになってる彩菜ちゃんを見てるのは辛すぎる。
「笑って…ね?」
「うん……えへへ!」
この彩菜ちゃんは今までで一番いい笑顔だった。
すっきりしたような、
濁っていない透明の笑顔。
…大好きだよ、彩菜ちゃん。
「可愛い!」
「それは花純でしょー!?」
幸せってこんなに身近にあるんだね。
知らなかった。
蓮君と彩菜ちゃんに教えてもらった。
これ、大切にしなきゃ。
もう失いたくたい。
…あたしの大切な親友と
大切な彼氏。

