「彩菜ちゃんにはどうしても、付き合ってること言えないでしょっ。だから、彩菜ちゃんが怒って…」
一区切り話し終えた。
いつの間にか、蓮君の左手にはハンカチ。
あたしの涙をしっかり拭ってくれてた。
右手はあたしの手を握り締めてくれてた。
…あたし、大切にされてる…。
「…早く言わないと?そういうことは」
「ごめんなさい…」
そう謝ると、蓮君はあたしをぐいっと引っ張って、自分の胸に押し込んだ。
そして優しく腰に手を回す。
「…つらかったな、本当に。花純、ごめんな…」
「やっ、蓮君謝らないで。あたしは今助けられてるから」
「ん…。俺もさ、学校に大切なダチがいるんだけど…
言えなくて、困ってる。
本当はすごい言いたい。
けどな、どうしても守らなといけない約束なんだよな。
俺たち一緒のことで悩んでるな」
蓮君はフッと笑みをこぼした。
蓮君も…
悩んでるんだ。
あたしと“同じ”ことで―。

