「あのねっ、あたし方向音痴なの」
いきなりそんなことを言われて、撫でてた手が止まる。
「ん?」
「あたし、すごい方向音痴なの。でも、ここまで戻って来れたの、蓮君のお陰なんだ」
は?
花純、何言ってんだ?
俺のお陰?
俺はただ、雑誌の取材受けてただけなんだけど?
「あたしね、追いかけられてるときずっと心の中で蓮君のこと考えてたんだ。そしたら心が温かくなって、導いて行かれる様にここまで来れたんだ。
蓮君、ずっとあたしの心の中にいた。
もしここで会えたらなんて思ったら、会えたんだもん。嬉しすぎた」
そう言うと、花純は立ち上がった。
それにつられて、俺も立つと…
ギユッと俺に抱きついて来た。
さっきよりも強く、力強く。
「花純…」
そんなこと…考えてくれてたんだ。
俺だって、いつでも
花純のこと考えてるよ。
ヤバイ。
我慢できないかも。

