「れっんくん?」



「どっか行ったらダメだかんな」



「ふぇっ?」




こんなときにマヌケな声を出すあたしは相当バカだと思う。




でも、手を重ねられたこの温もり。




これで、あたしは少し支えられた気がした。




ーどくどく





鼓動が激しい。






「おい、お前誰だ?」



蓮君が低い声で言った。



「花純の連れだ」



「んなわけないだろ?嫌がってるけど」



「っ、お前誰なんだよ」



「花純は俺の女。手出すな」




蓮君がそういった途端、チェっと舌打ちして悠くんは走り去った。






最後にあたしを睨んで。