あたしは頑張って、耳を悠くんに近づけた。
できる限り、触れないように頑張ったけど悠くんから近づいてきて…
耳に肌の感触が残った。
触れちゃった…
やだよぉ…。
そんなあたしの気持ちも知らず、悠くんはあたしの耳元で囁いた。
「今から抜け出さない?」
「うっひゃあ!」
「あははは、花純ちゃん可愛い~」
「っ~~…」
「あはっ、ますます可愛い!」
だめ、あたし悠くんに着いていけないや…
こんなあたしのどこが可愛いか分からないんだもん。
趣味、合わないや。
「で、で、抜け出さない?」
はっ!そうだった。
耳に全神経がうつされてて、話を聞いてるどころじゃなかったけど…
抜け出そうって案、出してくれてたんだ!

