愛のMelody【完】

スラッと長い手が吸い寄せられるように剣都の頬に触れた


周りなんて見えていない


ふたりだけの世界


「剣都……」


囁くように名前を呼ぶ女性の腕をいきなり剣都は振り払った


「触るな」


それはとても低い声だった


「剣都…?」


女性の瞳が切なく揺れる


「お前なんて知らねぇ。

気安く触るな」


それは今まで聞いた中で一番冷たい声だった