俺たちは純粋に練習を始めた


弾きにくい所を言うと鈴谷は丁寧に教えてくれた


それは凄くわかりやすく


さすがプロのピアニストだと思った


俺は、密かに鈴谷とのこの放課後の時間を楽しみにしていた


女との時間を楽しみに思うなんてひさびさの感情だ


だけど、そんな俺の心情とは反対に、鈴谷の表情が晴れることはない


それどころか、ある日の練習中「はぁ…」と大きなため息をついた


「なんかあったのか?」


「えっ?」


鈴谷はびっくりした表情で俺をみつめた


その表情に不覚にもドキッとしてしまった