「だけど…」


泣くほど嫌なら止めたらいい


俺は泣かせたいわけじゃないんだ


「ピアノどれくらいやってたの?」


鈴谷の表情は明るかった


だけど、それすらも無理しているように感じた


「中学入る前まで」


「そうなんだ。

思ったより上手でびっくりしたよ」


「いや、ピアノに触るのはそれ以来だから…」


「何で引き受けたの?」


「何でって…理由は別に」


言えねぇよ…


泣かせたくないから、なんて言えるわけねぇよ…