放課後、俺は一足先に音楽室にいた


静かな空間の中で時計の針の音がやけに響いて聞こえる


鈴谷は本当に来てくれるのだろうか


少し不安になった頃、ドアが開いた


「ごめん、遅くなって」


来てくれてホッとしたと同時に目に入る鈴谷の指


「いや。それより指、大丈夫か?」


「まぁ…」


「だけどピアノ…」


今まで通り弾けるのか心配になった


今はピアノを弾きたくない事情があるのはわかってる


だけど、また弾きたいと思った時、指は大丈夫なんだろうか


ただ、それだけだったのに…


「調べたんだ?」


鈴谷は冷めた表情をしていた