「もしもーし。」


ワンコールで出たので、ちょっと戸惑ったけど変わらないカズの声がただただ嬉しかった。

今まで想いためた“会いたい”が一気に込み上げてきた。


「もしもし…亜希だけど……カズ、今入院してるんでしょ?」


「へっ?なんで知ってんの?」


「カズの友達に聞いたんだよ。ねぇ…あたし、カズに会いたいんだ。会いに行っていいかな…?」


「どした?やけに素直じゃん。」


「そ、そう?…そうだよね。」


「会いに来てよ。俺も会いたい。」



カズのその『会いたい』という、その言葉に何も返せずにいる。

嬉しくて何て言ったらいいか言葉にできなかった。

やっぱり素直じゃないね。

明日お見舞いに行く約束して電話を切った。


“じゃあ、明日ね”って言えることが夢みたいにこんなに幸せなことだったなんて…

大好きな人と会えるって、すごいことなんだね。


カズと…

明日会える。