「怒ってないよ…別に。」

「嘘言うなって。亜希さぁ、もう少し素直になった方がいいと思うよ。」


「……。」


わかってるよ…。
自分のダメなとこぐらい。年下のカズに言われてしまったら、情けなくて恥ずかしくもなった。



「亜希さぁ、もしかして俺のこと好きになった?」


「何よ、いきなり…」


「素直になれって。俺のこと好きになった?」


昨日の出来事が頭をよぎった。そのせいで、また心にもない言葉が口からこぼれだす。


「好きじゃないよ…。」


ホント素直じゃない。
自分で自分の首を絞めて息苦しい。



「そっか!じゃ俺の勘違いか。昨日てっきり、俺にヤキモチやいて怒って帰ったのかと思ったんだけど…。」



「ヤキモチ〜?やくわけないじゃん。」

もう後に引けなくなってる…。

「あっそ。わかった。じゃあね、バイバイ。」




カチャ。


え…?
切らないでよ。

そんなに冷たく切らないで…。



泣きたくなった。
素直になれない自分に嫌気がさした。


静まりかえっている部屋が、さらに私を一人ぼっちにする。

ホントはもっとカズに近づきたいのに、好きなのに自分から遠ざけてるよね…。


せっかく電話くれたのに、私は何やってんだろ…。


私のバカ野郎ーっ!!