店をでたらすぐ近くに公園があったので、私達はそこのベンチに座ってたわいもない話をした。



なんでだろ。

カズといると居心地いい。
何も話さなくても、普通でいられる。

話せば、楽しくて笑いが耐えなくて。


今私の心は間違いなく、変化していってる…。




帰りも、カズは手を繋いだり、繋がなかったりした。

繋げば動揺するくせに、繋がない時は、私の右手はカズの左手を欲しがった。



今日一日でカズは、いとも簡単に私の心を奪っていた。

こんなはずじゃなかった。
見た目も性格もタイプじゃなかったカズのこと、いつの間にか好きになっていた。最初の悪い印象のカズは、いつの間にか消えている。

帰りのバスの中も、私の手はカズの手をしっかり握って離さない。


カズの胸元でさっきつけたばかりのペンダントがキラキラと光る。

私の胸元にも同じように。


「今度は亜希の好きなとこに行こうな!」




「うん…」




唯一、私の素直な心臓は結局最後まで鳴り止まないままだった。



バスの中からは咲き始めたばかりの桜が見えた。