「そういえば、なんで私の名前知ってんの?私まだ教えてなかったけど?」


「さっきコンビニ寄った時、レジのカワイイ女の子に聞いた。」


由佳だな…。

カズの“カワイイ”の言葉に胸チクリ。


私にも言った言葉。

わかってる。カズにとっては、日常用語なんだよね。可愛いと思ったから、可愛いと言ったんだ。


「どこ行くの?」


「ちょっとさ、俺の買い物付き合ってよ♪」


「は〜?何それー。」


「亜希に選んでもらおうかな〜♪」


どこまでマイペースだ?




私は何も言わず、カズに着いていくしかなかった。

それよりも、まだ私の心臓は鳴り止まない。

だって、バスの中からずっとカズの左手は私の右手を繋いで離さない。


繋いでる理由を聞きたいくらいだ。

でも、それも聞けないくらい動揺していた。



バスから降りて、しばらく人通りの少ない街の通りを歩いて行くと、その店はあった。


オシャレな店…。
こんなとこにこんな店があったんだー。

カズの行きつけの洋服屋。