私は思い出す…。


昨日ここにやってきたカズという奴のこと。


さんざん私に付きまとい、やっと解放すると『また来るから。』と言って乗り慣れた原付で帰って行った。



だいたいあんなサングラスなんてかけちゃって…


やっぱ私のタイプじゃないよ。
うん。


でもこんな私のこと可愛いなんて言ってくれたっけな…。


朝、急いで適当に服を着替えたから無地のグレーのパーカーにジーンズ姿という冴えない格好だったのに。


それだけに、ちょっと、いやいや、正直かなり嬉しかった。

私を含め、世界中の女子はやっぱり“可愛い”に弱い生き物だなぁって思う。



…ヤバっ。

また一人にやけてたぁ。

由佳に見られたかな…



と思った時にはもう遅かった。


「亜希〜?何かいいことあったっしょ?昨日もにやけてたし!」


「そ、そお?ちょっとね…可笑しいこと思い出しちゃって…。」


「は?気持ち悪〜。」



「ごめん、ごめん。あ、あのさぁ、由佳の彼って年下だったよね?」


「うん、2つ下だけど…。それがどうかした?」