ドアの方に目を向けると息切れしている奏多がいた


ふと奏多が顔をあげる


「泣いて…るんですか?」


はっと我にかえって服の袖で涙を拭く


すると奏多が何も言わずに私の背後に立つ


『昨日は…ごめ…』


ぎゅっ


「季子を泣かせてるのは誰?」


いつもの奏多じゃないと分かった


態度、口調がそれを物語る


奏多は後ろから腕を伸ばし私の首に絡める


息が耳にかかってくすぐったい