二人は呼ばれた部屋に入る。
そこは大広間の様で、周りに屈強な男達が十数名座っており、奥には長老と呼ばれる人物が鎮座していた。

「連れて参りました…」

アミは皆にその主旨を伝え、広間の扉をそっと閉める。

「御苦労じゃった」

長老らしき人物は、奥で鎮座したままそう言い、ユキヤを男達が囲む様に、長老の前に座らせた。

「随分と重苦しい歓迎ですね、審議でも始まるのですか?」

ユキヤは親指を唇の処に持っていき、臆する事無く応えた。
その表情は心なしか、クスリと笑ってる様に見える。

「まずはお主の目的を聞かせてもらおう」

長い白髭の齢七十を越えてそうな長老は、ユキヤに問い掛ける。

「何の目的でこの森に入ったのか?それにこの刀」

長老は二本の刀を手に取る。

ユキヤが帯刀していた刀だ。

ユキヤが口を開こうとしないので、長老がまくし立てる、と言うより質問責めで、返すタイミングが難しいと表現した方がいいだろう。

「この刀は護身用に持っている類いのものではない。もっと使いふるされた、多くの命を奪ってきた、そんな刀じゃ…」