社長の溺愛・番外編




「ただいまー、つばさぁー」



直帰している翼は俺が鍵をあけるとパタパタと可愛らしいうさぎのスリッパを履いて駆けてくる



「おかえりなさい」



今日も可愛い翼はそのままの足取りで胸に抱きついてくる


幾日振りの彼女の感触に我慢してきたものがつい、ここで溢れだしそうになる


今すぐベッドに連れていきたいくらいだ



なかなか離れようとしない彼女はきっとこの数日間、ずっと寂しかったからだろう



「翼、顔をあげて?」

「………慎…」



脇の下に手を差し込み小さい子のように片腕で抱き上げると控えめに長い睫毛を動かす


綺麗な茶色い瞳は涙で潤み、細い指先はか弱い力で俺のスーツを握ってる



「ご飯はちゃんと食べた?」

「………幸弘くんと…」

「食欲なかったって、最近ずっと?」

「……………ずっと」



怒られると思ったのか小さな声でぼそっと呟く泣きそうな子猫ちゃん