幸弘はもう我関せず状態で目を通したはずの書類を真剣に読むふりをしている。
「だからといって大事な日に…べつにいつだっていいだろ」
カードの中に書かれていたそれに呆れたように視線を向けると父さんはもう何も言えずにただ手を合わせて悲願するだけ
昔から母さんに頼まれたら二つ返事でお姫様扱をするい愛妻家の父はこうなったら退かないことくらいわかっている
きっとこの話だって俺が折れないと…なんかもう、ああ…
「―――わかったよ、その代わりに休みの調節は父さんがやってよ。これ以上ペースを乱されたくない」
このまま退かなかったらどうなるかと想像し項垂れる
「本当か!母さんが喜ぶよ、ありがとな慎!」
父さんの笑顔とついに言ってしまった言葉と共に翼になんていえばいいのかと不安要旨が増えた
「翼泣くかもな…」
否、翼以前に俺が耐えられないかもしれない
誕生日が、二人きりじゃないなんて

