社長の溺愛・番外編




「明日、明後日は二人の誕生日だろ?」

「まぁ…、でもその間は休むつもりなんだけど」

「知ってるよ、ちょっとその話でな」



躊躇うように視線を泳がせた後、質の良いジャケットから綺麗な折り畳み式のメッセージカードを取り出した父さんはそれをテーブルの上で滑らすように俺に渡した



「なにこれ、手紙?」



ちょっと如何わしい動きで渡されたメッセージカードを警戒しながら手に取ると、見覚えのある懐かしい字が表紙に書かれていることに気づく



―――Happy Birthday!



そう書かれた文字は少し右上がりで裾広がり、縁起がいいとかいつて昔練習していたような気がする


母さんの字だ



「母さんから?どうしてまた…」



渡し主がわかった途端に安堵し、油断してしまったのが間違いだった


2つ折りのそれを指先で開く



ピロリ~リ~ピロリ~♪



社長室にお馴染みのメロディーが流れた


しかも超音波のようなメッセージカード独特なあの高い音で高々と