幼い俺は事故を目の前で見てしまって、精神崩壊寸前だった
それを阻止するために自分の脳のなかで記憶を書き換えて免れたんだ
間近で息子が変わっていく姿を見て、母さんは俺以上に辛かったはずだ
ただでさえ友人家族が亡くなったあとだったのだから
「だから、独断で時がくるまでつーちゃんを見守ることにしたんだ、幸弘に手伝ってもらってな」
「―――…そっか」
改めて聞かされてすんなりと受け入れられている自分にすこしだけ驚く
「つーちゃんは今、学校か?」
「ああ、友達もできて最近は楽しそうだよ」
「それはよかった」
心底嬉しそうに笑ってみせる父さん
「今日は様子見で?」
母さんに行けと催促されて来たんだったら早く会社の話でもしようかと暗に示せば父さんは少し複雑そうな顔をする

