うだうだ言っていても仕方ない、と重い身体を上げたところで、タイミングを見計らったように備え付けの電話が鳴った
アポ入ってたっけ…会議だっけ…
最早、自分のスケジュールなど把握していない
怠さ全開で受話器を握った
「はい、こちら社長室」
受付からかかってくるそれからは翼をよく可愛がっている女性の声がする
《お疲れのところ申し訳ありません。実はお客様が》
「お客…?アポは?」
そう問えば女性はすこし困ったように笑うとすぐに焦ったような声がした
《あ、ちょ…《…慎、父さんだ》
「………は?詐欺かなんかですか?」
思わずそう言ってしまった俺に馬鹿にしたように笑う優しい声
《父さんだと言ってるだろ、今そっち行くから茶でも用意して待ってろ》
「え、まじで父さ…《ツー…ツー…》
切れた電波に俺は止まった思考をなんとか作動させる
何しに来たんだ…あの人は!

