社長の溺愛・番外編




それから数日―――……


誕生日まであと1日となったその日、俺は社長室で仕事に追われていた


もう目が痛いとかじゃなくて、眼鏡を掛けることすら嫌になっていた


余りにも酷いのですこしだけ休憩しようとそのまま背もたれに身体を預けて目頭を揉む



思えば翼とは朝と、夜のおやすみの挨拶のときしかまともにいない



気を使っているのか、それともなにか用事があるのか

……まぁ、前者だろうが


彼女は学校帰りには会社によらず、直で家に帰るため本当のすれ違い生活を送っている


夜を共にすることなど愚か、キスだってまともにできない


行ってきますの時くらいだ


仕事の疲れはたまるがそれ異常に堪えるのは触れあえないことだった


男としても、人としても


こんな生活もあと1日と思ったらなんとか頑張れるが、来年からはちゃんと対策を練ろうと思う



「あー……翼抱きてぇ…」



天井の高い社長室に響く悲しい自分の声に空しさは増すばかり