社長の溺愛・番外編




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既に時計が頂点を指してから数時間経過している


硬くなった肩を回してパソコンのデータを確認するとさっさと電源をきった



携帯を持って静かな部屋をでて冷たいフローリングを歩いて、寝室のドアをあける



しん、とした物音一つとしないオレンジ色の空間


大きすぎるベッドに見えるのはこれまたでかいウサギの抱き枕と、それに巻き付く細い指



うっすらと山波のできるそれを捲れば綺麗な翼の寝顔がみえた


長い睫毛は伏せられていて表情こそはわからないが何だか少し寂しそうに見える



「翼、愛してるよ」



いくら話しかけても寝ている彼女には聞こえないが気休め程度にはなるだろう


そっと、白い頬に自分の手をおいて温度を確かめるように唇を落とす



「………ん…」



ほんの少し身動ぎをしたがすぐに深い眠りに再び落ちていく