「翼、入るよ」
返事がないことに若干の緊張感を孕ませて寝室に入る
大きなベッドには不釣り合いなほど小さな彼女が膝を抱くようにして丸まっている
その上にかけられた布団に触れると嫌がるように身動ぎをした
うわー…ショックなんですけど社長、もう既に心がボロボロ
「翼、こっちむいて」
「…………やだ、寝る」
ぎゅぅううっと、抱き締めているウサギの抱き枕に顔を埋める仔猫は反抗期にもみえる
はっきりと拒否の言葉を述べられた俺は泣きそうなのを我慢する
「好きだよ翼、だからこっちむいて欲しいな」
ベッドを回り込んで顔がみえる位置にしゃがみこむ
と、ちらっとこちらを見た仔猫ちゃんと目があった
ふわりと笑ってそっと流れた前髪にキスをすれば泣きそうな顔をして瞳を向けてくれた

