翼ちゃんはケーキを買っていくらか機嫌が良くなったのか、会社につくころにはニコニコしていた


よし、今聞き出そう



「翼ちゃん、さっき南月に何言われたの?」


無駄に広いロビーを抜けてエレベーターに乗り込みつつしっかり声に出す


すると翼ちゃんはハッとしたように大きな瞳をさらに大きくさせる


素早く俺の顔を確認すると警戒するようにゆっくり距離をあけた



「え、どうしたの翼ちゃん」


あからさまな距離に戸惑う俺


近づこうとすると首をふってキッと睨んでくる


正確には可愛すぎてただの上目遣いなんだけど、え?もしかして誘惑?誘ってる?


なんて、そんなことド天然の純情な翼ちゃんができるわけないけどね


それにしても、この距離はこまる


まるで俺が何かしたんじゃなをかと不安になる

あれ、もしかして俺何かしちゃった?


「翼ちゃ…」


このままでは嫌われてしまう!と危険信号を発する脳に従い声を出したと同時にエレベーターは停止


既に扉は開いて、翼ちゃんの走る姿がちょうど消えるとこだった


焦って俺も走り出した