翼は軽井沢で徹さんがしてくれたことを思い出していた
そのときにケーキや紅茶を出してアフタヌーンティーというのを教えて貰ったのだ
「なんか本格的だな」
「うん、せっかくお休みだから……」
「そっか、ありがとう」
久しぶりのゆっくりした時間に慎は明日の仕事が嫌になりそうだ
「翼…、こっちおいで」
「なぁに……?」
熱いコーヒーをテーブルに置いて隣に座った彼女を膝にのせる
「どうしたの…?美味しくなかった?」
「いや、とても美味しいよ」
「……………」
きょとんとした表情で慎の気持ちを必死に探ろうとする
「翼、今日はありがとう」
「…………?」
「ひとりでやってくれただろ、全部」
「うん…」
「だからありがとうって、気にしなくていいんだよ」
意味がわからない翼は首を傾げるが、慎がいいと言うのならいいのだろう

