夜に帰ってきたせいで気になっていた部屋の構造などは全く知ることができなかったのだ



「慎……」


ポツリと呟いた言葉になんだか悲しくなってきた


無意識に彼女の大きな瞳には涙が溜まっている


広いリビングでしゃがみこむ



すると、どこからか水の音がした


翼が知っているのはトイレかバスルーム


彼女は迷わずバスルームに向かう


翼からしたら大きめのドア


このなかに慎がいるかもしれない……


ゆっくりノブに手を伸ばしたとき、ドアは勝手に開いた


否、向こう側にいた慎によって開かれた


「起きたのか?おはよう」



ドアの前にいた翼に驚きもせずに笑みを見せる



「慎っ……おはよう」


と大好きな慎の声に安心感を覚えた翼は思わず抱き着く


バスローブ姿だった慎は何事かと心配になりしっかりと抱き上げる