「ぱぱと、まま」
「うん、ぱぱとままいるね」
「私の、ぱぱとままは…いないの」
ああ、そういうことか
翼はどこか客観的に自分を見ているところがあって、多分だけど
今現在、疎外感を感じているのだろうと理解する
その事実はどう足掻いたって変わらないものだけど、疎外感なんてものはなくて良いから
「翼のぱぱとままは、空にいるんだよ」
「……そら」
「そう、ずっと翼はいい子にしてるかなーって見てるんだよ」
「ほん…と…?」
きょとんとした表情で驚きを見せる翼が何故だか特別幼げに感じる
「だから、ぱぱとままはいるんだよ」
「…………そっかぁ…」
表情の変化があまり見受けられなくとも分かる、彼女は嬉しそうだ
「よし、じゃあ行こっか」
「うん!」
先ほどからちらちらとこちらをを伺っている参観日のような父さんが手招きをしている
苦笑しながらも促されるまま足を前に出した

