指先をインターフォンに触れさせると家の中からガタガタと騒がしい音が聞こえてくる
また母さんと父さんが何かしでかしたんじゃないかと気が気でないが静かに待つ
と、ガチャガチャなんて騒音を立てたかと思ったら目の前の扉が開いた
「つーちゃん!…と慎」
明らかに温度差を感じるそれに引きながらも返事を返せば早く早くと急かさながら家の中へと迎えられた
すとん、と玄関口に彼女を降ろせばきょろきょろと所在なさげで不安そう
父さんは父さんで一段上から瞳を輝かせて食い入るように翼を見つめている
「翼、靴脱いでね。父さんはとりあえずリビング行ってて」
「え、つーちゃんを抱っこして連れていこうと…「しなくていいから」
ぶーぶー文句を言いながらも空気を読んでその場を離れた父さん
翼はというと言われた通りに可愛らしいブーツを脱ごうとしている
「座って、やってあげるよ」
小さな足から靴を抜き取れば自然と目線が同じ位置にある
「翼?どうした、そんな顔して」
なめらかな頬へと指を這わせばそれにすがるように睫毛を伏せた
「……しーくんぱぱが…いる」
「ああ、いるよ」
「しーくんままは?」
「いるよ」
何が言いたいのか、汲み取れるように一言一句聞き逃さないように気をつける

