社長の溺愛・番外編




朝食を食べ終わり片付けも済んだ頃、タイミング良く電話が掛かってきた


翼はというとあまりに触れないせいか拗ね初めている、目が合えばぷいっと可愛らしくそっぽを向く


しかし、その首もとにはあまりにも機嫌を損ねるので早めに渡したプレゼントが下がっている


オーダーメイドで作らせたダイヤ入りのネックレスだ


翼はそれでも若干ふくれていたが可愛いからまぁ、いいか


とりあえず喚き鳴く騒音を止めるべく通話ボタンを押した



《もしもし、慎か》

《そうだけど、父さん?》



ああ。とあの優しい声音が電波越しに聞こえてはっとする
ちらりとカレンダーを確認して小さく舌打ちした



《今日の午後だっけ…?》

《ああ、もう準備は出来てるからなるべく早めに来いって》

《あー……わかった、なるべくね》

《早くな、早く》



催促しまくる父さんの声は妙に浮き足立っている、母さんばかりだと思っていたが夫婦もろとも同類だ



ちらりと翼を確認すれば興味無さげに寝室から引きずってきた巨大なうさぎの耳をいじってる


うん、超可愛い



それから長く続きそうな話を適当に終わらせて電源ボタンを押した



「つーばさ」

「…………なに」

「お出かけ、しようか」

「……お出かけ」

「うん、しない?」

「…………する!」