社長の溺愛・番外編




肩で息をする翼は涙で潤む瞳をこちらに向けてじっと見つめると、湿った空気を吐き出しながら言の葉を紡ぐ



「慎………前と違う」



ぼそり、呟かれたそれはとても聞き流してすむようなものでは無さそう



「前と違うって……どういうこと?」



もしかしたら、と最悪なことばかりが脳裏に浮かぶ

嫌いとか言われたら本当に生きていけない


翼は数秒、言葉を紡ぐのにゆっくり考えると静かにその可愛い唇を開いた



「慎ね……えっちな…ひと」

「―――――」



男はみんなそうだ、とでも言えばいいのだろうか…



「えっと、翼は…嫌なのか?……チュウとか、えっちなこと」



多少の不安を抱きつつ問いをなげ掛ければ彼女はうーん、と考える素振りをして直ぐにきょとんという顔になる



「嫌……じゃないけど…」



ビックリした…一瞬本気で首を吊ろうかと思ったよ…


彼女は付け足すように言う。



「だけどね……、疲れちゃうから……」