両肘をつけて、用紙をぼーっと見つめる。
どうにも思いつかないらしい。自分の進む路のことが。
とりあえず、大学に行こうかな。
それくらいしか思いつかないミャーコは、だけどそれが自然なのかなとも思った。
今、自分が進む路を決めてしまう必要なんてきっとない。
歩く道なんて一直線じゃない。曲がってるし、うねってるし、たぶん分かれ道なんていくらでもある。
どこを選ぶか、どう歩いて行くかはその時の気分次第だ。
みんながこうしてるから、じゃあ自分もこうしよう。
それだときっと、楽しくない。
ミャーコが見つめる、進路相談と書かれた紙。
その文字を眺めながら、ぼんやりとそう、“人”の歩く道のことなんか、考えていた。
「……また何か余計な事考えてんでしょ、ノア。」
ミャーコの声が呆れたような雰囲気で、そう言った。
俺はミャーコへと視線をずらした。ミャーコは頬杖をついて、こちらを見上げていた。


